山田くんの追加養蜂講座2021年7月-2 農薬


山田くんの追加養蜂講座2021年7月-2では、農薬に関してお話します。

近年養蜂家をもっとも悩ませているのが3つあります。ダニ、蜜源の枯渇、そして、農薬です。農薬は様々な場所、例えば、田んぼ、畑、果樹園、ゴルフ場などで使われます。

特に7~8月にかけて行われる稲のカメムシ対策の無人ヘリコブターやドローンによる農薬散布は毎年多くの被害を出しています。無人ヘリコブターやドローンでは希釈濃度が地上散布とは比較にならない程高濃度で、広範囲に撒かれるため被害が拡大しやすいです。

農薬で蜜蜂への影響がもっとも大きいとされ問題になっているのが神経系を麻痺させるネオニコチノイド系ですが、ネオニコチノイド系以外でも農薬は農薬です。蜜蜂に必ず悪影響を与えます。農薬の被害は大きく分けて2通りです。

被害①直接かかる
農薬が直接巣箱や蜜蜂にかかることで起きる被害で、農薬散布と同時に大量に死にます。


↑農薬の被害で大量に死んだ蜜蜂の様子。舌を出しお腹を丸め苦しそうに死ぬのが特徴です。

被害②間接的
農薬が蜜源植物にかかり花粉、蜜、水を汚染して起きる被害です。直ぐに蜜蜂が死ぬことはありませんが徐々に働き蜂が死んで行ったり、蜂児の羽化率が低下低するなどし弱群化し最悪は全滅します。徐々に群が弱くなって行くので、農薬が原因だと分からない場合があります。

このように農薬は蜜蜂に多大な被害を与えるため、農林水産省は『農薬による蜜蜂の危害を防止するため取り組み』を行っています。下記URLを一度見て下さい。

農林水産省:農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組
http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_mitubati/qanda.html

このように国は取り組んでくれていますが、取り組みを読んで感じられた通り、自分で対処するしかないのが現状です。そこで対処策を紹介します。

対処1:情報収集
もっとも大切なのが情報収集です。いつ何処でどんな種類の農薬が散布されるのか、ゴルフ場、農家、JA、農林水産課などに問い合わせ情報を集めましょう。そして、対処法を考えます。

対処2:避難
農薬が散布されない場所に蜜蜂を避難させます。もっとも有効な方法ですが移動先が確保できない、群数が多いと移動できないなどの問題があります。

対処3:巣門を占める
移動が困難な場合は、農薬を散布する時間帯に合わせ巣門を閉めます。※外気温が30度を超える場合は蒸殺が起きる恐れがあるためお勧めできません。

対処法4:話合う
農薬散布元と話し合い、妥協点を見つけます。話し合いができる場合は、お互い妥協点を探しましょう。農薬使用禁止!!では農家さんの生活が成り立ちません。妥協点が見つかるようにお互いに歩み寄れたらいいですね。

以上が対処方法です。情報を集め対処方を考え蜜蜂を農薬から守りましょう。

※水源の汚染から蜜蜂を守る。
水源が農薬に汚染されると長期的かつ致命的なダメージを与蜜蜂に与えます。汚染された水源に蜜蜂が少しでも近づかないように蜂場に水飲み場を設置しましょう。

21年7月改編