山田くんの養蜂講座第9回 群の増やし方 基礎知識


山田くんの養蜂講座第9回では、群の増やし方に関する基礎知識を詳しく説明します。

4月に種蜂を購入した場合、5月になると群が成熟するため群を人工的に分割し増やすことができます。人工的に群を増やす事を割り出しと言います。割り出しに欠かせない4つの基礎知識を紹介紹介します。

基礎知識①季節

割り出しは年中行えるわけではありません。下記3つのポイントを満たした季節でしか行えません。

ポイント①女王蜂の産卵
割り出しを行なう場合は女王蜂の産卵が活発であることが欠かせません。産卵が鈍い季節に割り出しを行なうと働き蜂の数が減り調子を崩してしまうからです。

女王蜂の産卵は4月から活発になり7月以降は産卵が鈍くなります。そのため7月以降(地域差あり)に割り出しを行なうと元の巣箱も新しい巣箱も越冬に十分な働き蜂を確保できない可能性が高くなります。

ポイント②オス蜂
交尾には雄蜂が必要です。雄蜂が多く生まれるのは春と秋です。

ポイント③大スズメバチ
捕殺器は交尾飛行の妨げになります。そのため交尾飛行に行く群は外す必要がありますが、8月以降は大スズメバチの襲撃が始まるため捕殺器は必須です。捕殺器が必要のない季節を選びましょう。

以上がポイントの説明です。3つのポイントを満たしているのは4~7月の間です。割り出しを行なえる季節は限られています。タイミングを見計らい計画を立てて割り出しを行いましょう。

基礎知識2:2種類の王台

女王蜂が育成される特別な巣房が王台です。王台にはいくつか種類があります。分蜂前に作られる自然王台と女王蜂が急死して作られる変成王台です。初めて割り出しを行う場合は、分かりやすい自然王台を活用します。


↑画面向かって右側が王台

王台から羽化した女王蜂は未交尾なので産卵できません。産卵をするため女王蜂は巣箱の外に出て雄蜂と交尾します。この行動は交尾飛行と呼ばれています。交尾飛行から帰ると産卵を開始します。産卵が開始された時点で女王蜂となります。

基礎知識②女王蜂の誕生する日数

女王蜂は働き蜂よりも羽化までの日数が短く16日で誕生します。卵3日、蜂児5.5日、蛹7.5日、合計16日です。

基礎知識③場所の確保

割り出した群を元の巣箱の近くに置くと、割り出した群の働き蜂が元の巣箱に戻ってしまい、割り出し群が調子を崩します。割り出し群は元箱から2km離れた場所に設置するのが良いです。2km程離れた場所を確保しましょう。

基礎知識④初めては王台

初めて割り出しを行う場合は、自然王台を利用するのがもっとも簡単です。王台が出来たら蓋がされる前に割り出します。王台を利用すると女王蜂が誕生するまでの時間が短くなるため、新女王蜂が誕生してからの巣箱の立ち上がりがよくなる可能性が高いです。

※王台が無い場合は・・・
王台が無いけれど割り出したい場合は、卵がある状態の無王群を作ります。すると卵のある巣房を王台に加工(変成王台)します。


以上が4つの基礎知識です。21年5月改編