山田くんの養蜂講座 第32回 10月の飼育のポイント3 働き蜂の密度

山田くんの養蜂講座第32回では、10月の飼育のポイント3、働き蜂の密度に関して説明します。

9月中旬、外気温が30度を下回り始めると女王蜂の産卵は活発になり、10月になると働き蜂が羽化し働き蜂の数は増え始めます。コスモスやセイタカアワダチソウなどが開花するため産卵は9月よりも活発になります。越冬を考えると9月、10月にどれだけ働き蜂できるかが非常に重要となるため、10月も9月同様、子育てしやすい環境作りが鍵となりますが越冬を見据える必要がある点が9月とは異なります。

子育てをしやすい環境作りのためのポイントは3つです。

ポイント1、巣碑枠の調整
ポイント2、産卵圏の確保
ポイント3、働き蜂の密度

今回はポイント3、働き蜂の密度に関して説明します。


生育が順調で蜜蜂が健康な場合は、10月になると働き蜂の密度は上がって来ますが、ダニの寄生、大スズメバチの襲撃、夏のダメージを受けた場合などは密度が上がらない場合があります。上がらないままにしておくと巣碑枠の温度が保てず最悪はチョーク病などになってしまいます。


↑理想的な密度の働き蜂の様子。

働き蜂の密度は巣碑枠を抜くことで上げられますが、産卵の状況によっては巣碑枠を抜くことができない場合があります。そういった場合にお勧めなのが分割板です。


↑分割板の様子。

分割板は産卵スペースを制限するために使用します。

使用例:ダニの寄生の被害を受け働き蜂の数が3枚群分しかいない7枚群の場合。
→分割板の外側に蓋蜂児枠を3枚と蜜枠を1枚移動させます。蓋蜂児が羽化し巣碑枠が空になったら巣箱から取り出します。蜜枠はそのまま残します。


↑分割板を挿入した巣箱内部の様子。巣箱の壁と分割板に挟まれた部分の巣碑枠に女王蜂がいます。

以上が使用例です。分割板を上手く活用し産卵スペースを制限することで働き蜂の密度を上げ子育てしやすい環境を作りましょう。

※分割板の使い方2

産卵は行われず蜜蓋がされない濃度が低い蜂蜜が貯蔵された巣碑枠を巣箱から取り出すと、蜂蜜が結晶化してしまったりかびてしまいます。こういったトラブルを避けるために分割板を使用します。薄い蜜が貯蔵された巣碑枠を分割板の外側に移動させます。蜜蜂はお腹が空くと巣碑枠の蜂蜜を食べます。巣碑枠が空になったら取り出しましょう。